「みんカラ」2011年10月08日掲載

このところ元気のいいマツダが、ロータリーエンジン(RE)を搭載したスポーツカー「RX-8」の生産を来年6月に終了すると発表したその日、復活した「HOT-VIRSION」の第2号が届きました。復活第1号の売れ行きはまずまず、と聞いていた。

1968年式のCosmo Sport

1968年式のCosmo Sport

さっそくパッケージを開け、PCと接続するムービー再生器に挿入する。元気よく飛び出してきたのは、土屋圭市と谷口信輝のコンビ。明るくてキレのいいオープニングの挨拶。そばにプルンプルンのGカップ・ギャル。まぁ、許せる範囲の演出だった。 定番の『峠最強伝説』と『The ドリフト マッスル Rnd.3 日光編』は、その向きのファンには欠かせないものだとしても、この号には3つの注目点があった。

その筆頭が、メインテーマとして分厚い創りを見せてくれた「ロータリーパワーよ 永遠なれ」だろう。RX-8の生産終了のニュースを知った直後だけに、何を狙っているのかな、と担当する制作ディレクターの名前を見ると「仁礼義裕」とある。では本編を拝見しようか。

7月7日は「セブンの日」。ロータリーの火を消すな、のメッセージをこめた「ロータリー祭り」が筑波サーキットで催されており、それを盛り上げるべく「RX-7&RX-8 ストリートチューン 筑波最速戦」を仕掛けていた。その前菜として、1968年式コスモスポーツの懐かしいエンジンサウンドを聞かせてくれる。

HV112battleそしてバトル。服部尚貴君が直線勝負ならお任せの2ローターのRX-8でドリドリや谷口君を追っかけまわす役回り。谷口君は峠の魔王と呼ばれるRE雨宮のRX-7で華麗なレーステクニックで、観る者の心を捉える。リーダーの土屋圭市はレース終盤の混戦で、きれいにインを空けて、クリーンなバトルを盛り上げていた。ひところの上昇期ベスモのバトルを見ているようだった。これ、褒め言葉なり。

さて、バトルが終わったところで、これは多分、9月3日の「メディア対抗ユーノスロードスター4時間レース」のときに撮影したと思われる、マツダ開発陣のキーマンから、広島弁で「わしらは、ロータリーの火は消さんぞ」という決意を引き出している。

これはヒットだろう。こうやってエンターテインメントで楽しんでいただきながらも、何か、ジャーナリスティックな仕掛けを忘れない。それが生きていた。

西仙台Aそしてもう一つ。今の仙台ハイランドの再建への様子を伝えてくれたこと。3・11の大震災で大きなダメージを受けていたこのサーキット。近年は「GT―Rの聖地」としても、走り屋たちにも特別の想いが注がれていた。なんとか、復活させたい。サーキットの関係者が、心ある人たちに支えられて再建に立ち上がっていた。その様子を見ていると、なぜか涙がこみ上げてくる。DVDを見ながら、こんなことは初めてです。先頭に立って動いた一人、川崎俊英君が、走行できるようになって、最初のドライバーに選ばれサーキットに飛び出してゆく。そしてハーフスピン。なんとも人間味のあるシーンが、さりげなく用意されていた。見どころの多い1本が出来上がりましたぞ。

ハイランドの支配人

ハイランドの支配人

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