札所6番朴雲寺からの武甲山の眺め。

札所6番朴雲寺からの武甲山の眺め。

いま、なぜ秩父なのか。

東京都心から西北へ、100キロ足らず。2000㍍級の霊気ただよう山塊に包まれた秩父盆地。歴史を語る墓塔や札所霊場、そして四季を彩る花々も、一日の半分は影のなかにある。

その秩父に入るには、きまって、それぞれの峠を越えなければならない。その峠の脇で踏み跡の消えた古道が誘う。それはかつて、特産の絹や商人たちを送り迎えした交易の道だったのか。それとも三十四札所霊場への巡礼道か。ひっそりと鎮まる野仏や石碑に訊いてようか。峠を駆け下りる。と、そこは紛れもなく霊気の満ち溢れる「パワースポット」が待っていた!

そして、古代からつづく秩父地方に生きてきた人々の営みの歴史と息遣い……。

現地取材、足掛け三年。その全記録をWEB連載で!

23番札所音楽寺境内にある秩父困民党決起100年を記念して建てられた「無名戦士の墓」

23番札所音楽寺境内にある秩父困民党決起100年を記念して建てられた「無名戦士の墓」。その碑文には「われら秩父困民党、暴徒と呼ばれ、暴動といわれることを拒否しない」と刻まれている。

折から、西武鉄道が改めて「秩父を《箱根》にする」プロジェクトを立ち上げた。近く(3月16日)地下鉄の東京メトロ副都心線を介して、横浜の「元町・中華街」と西武鉄道がつながる。観光資源の豊富な秩父を、再認識してもらおうとする試みも、あれこれと始まっている。秩父が動き出したのだ。

その秩父に、いま、足を運ぶと、何が待っているのか。それを感じ取っていただける新しいシリーズをはじめよう!