わが闘走 act.6                ■ 本文へジャンプ
■富士フレッシュマンレース第3戦
4月24日、富士フレッシュマンレース第3戦。 快晴。
 ぼくがNP1600Cクラスで決勝のスターティ ンググリッドについたのは久し振りだ。しかもぼくの背後には4台のマシンがいる。予選タイム1分58秒39で24位。あと1秒、タイムを削ることができれば15位あたりまで上がれるだろう。
 ともかく、前回(第2戦)のレースでのブッツケ本番的、綱渡りはもうやめよう。ほかのチームに申し訳ないから、準備だけはきちんとやろう、と心に誓ったてまえ、黒沢元治監督以下、わがチームは珍しく緊張してこのレースに臨んだ。

今回は1週間前から走り込むなど、準備万端!?

 レース前の走り込みは充分とはいえないが、2週間前にスポーツ走行して第1コーナー、100R、ヘアピンのアプローチを復習して、すくなくとも1秒はタイムを削ったはず。 タイヤをダンロップからヨコハマのアドバンHF−Rに履き替え、ホイールもヨコハマのアルミで、バネ下重量を軽減。これで0・5秒は短縮できる。
 レース前日から、チームは富士に集結して、マシンのメインテナンスに細心の注意を払う。
 この3点は忠実に履行されたようだ。予選では、はじめてなんのもめごともなく、ピットから7番目にスタート。15分間を走り抜いた。残念ながら、56秒台はマークできなかったが、決勝では中団には食い込めるだろうと、チーム一同期待する。
「局長、シフトミスしないように!」
 黒沢監督は、メカニック退場の指示が出たにもかかわらず、心配そうに囁く。もちろんスタートでギアをRにぶち込み逆噴射させるな、という意味ではなく、コーナーを立ち上がるときのことだろうと、こちらは善意に解釈した。
 シグナルが青になった。絶妙のタイミングで飛び出したつもりだが、動きが鈍い。あっ!サイドブレーキを解いてなかったのだ!
久しぶりのスターティンググリッドは遠い
それでも前には23台がビッシリと。

 ド、ド、ド。第1コーナーの小さな出口に30台からの集団が先を争って飛び込む。こちらは巻き込まれては損だから、ゆっくりと様子を見ながらクリア。いつもなら、そこで2〜3台がこけているはずなのに、今回はだれもいない。
 S字から100Rへ。先行する集団の動きに注意した。いったん左にふくらんでから、ブレーキングして、100Rを抜けようとしている。
 よし、いまだ! ぼくの55番ベストカーパルサーはノーブレーキのまま(実はアクセルをちょっとあけてしまうが)クリッピングポイントに飛び込みざま、4速から3速にシフトダウン。そのまま、アウトにふくらむマシンを、アクセル全開でおさえ、坂を駆け上った。あっという間に2台をインからパスしてヘアピンへ向かった。
FISCOの第1コーナー。心臓がノドからせり出す

ヘアピンでは27番を右にみながら、立ち上がりでこれもパス。250R、300Rも先行集団にじりじり接近しながらクリア。そして、最終コーナーから直線へ。黒沢監督が親指を上に突き立てている。もっと速度を上げろのサインだ!
 再び第1コーナーへ。心臓がノドからせり出すのを抑えながら、前のクルマ(10番オーテックパルサー)がブレーキングするまでブレーキは我慢。尾燈がパツと赤く点滅。ホッとしながらこちらもブレーキング。そして、シフトダウン。4、3、2と落としたところで、鋭角的にインへ切り込み、10番をパス。あとは8番オートスポーツパルサーをなんとか捉えたいものだ。
 3周目、ぼくの背後にはなんと7台がいたという。
走り終えて……ドライバーズサロンでの談笑
 ところが4周目に第1コーナーを抜け、2から3へシフトアップしようとしたところ、異様な音がしたと思ったら、ギアが3速に入ってくれない。焦りながら、こんどはゆっくり、シフトアップしたところ、うまくいったが、その間に、2台ばかりがぼくを追い越していく。
 ヘアピンでも同じ症状がきてしまう。直線でも、ついにはタコメーターが4速で5000回転まで上がらないようになり、ぼくはズルズル後退をはじめ、ついには23位でフィニッシュ。
「強力な横Gがかかると、シフトする手の位置が狂ってくる。それを柔らかく抑えこんでシフトしないで、強引にねじり込もうとしたから、ミッションを壊したんだろう」
と黒沢監督が指摘する。
「しかし、やっとレースらしい走りかたをしてくれた」
 との評にこちらは大満足どころか、よし、もう一丁いくか、という気になるから、不思議だ。               
                                            (ベストカー83/7月号)

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