今だから、書く。この年の1月15日に、馬齢52を重ねて、身辺は変革の渦のなかにいた。前年の4月末に、新会社を設立、その代表取締役社長であり、VIDEOマガジン『Best‐MOTORing』の編集長も兼ねた。何分にも、新事業に失敗は許されない。講談社の厚い庇護はあるといっても、映像事業はまったくの未知の領域。いくらクルマジャーナリズムでそれなりの地歩を築いたとはいえ、ビデオによる月刊定期刊行は生半可のエネルギーでは、軌道に乗せるのも難しいかろう、と周囲は見ていたようだ。
音羽通りの光文社、キングレコードのビルと隣り合わせたマンションに、20坪あまりの事務所を設けた。『ベストカー』のあるビルとは700mばかり離れた。
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