【レポート/赤井邦彦】
浅間重輝さんの隣の席で、正岡編集局長は、盛んに衣装のことを気にしていたようだった。
「アンダーウェアは不要でしょうね」
「暑いからTシャツでいいでしょう」
「でもマスクはつけたほうが……」
「ほくはフル・フェイスだから、つけないでおこうと思ってますがね」
「やっぱりぼくはつけます。気分が引き締まりますから」
ぼくは2人から2列ほど前の席で、うとうとしていた。
2人の会話がとぎれがちに聞こえてくる。実はぼくらは、今JAL機でオーストラリアに向かっている。アデレイド市で開催される三菱オーストラリアGPの取材が目的だが、2人は前座の三菱コルデイア・レースに、日本人代表として出場する。衣装の話というのは、その時のレーシング・スーツの話である。
浅岡さんは現在自動車評輪家として活躍中だが、元はいすゞ自動車のワークス・ドライバー。レースはお手の物である。一方の局長は「45歳からレースを始めた」アマチュアだ。
「若いうちから始めてればもっといけたはずだ」と思うのだが、そんな泣き言はいわない。45歳からの4年間、黙々と富士SWに通い、フレッシュマン・レースのパルサーやEXAレースで、満身創痍の練習を積んできた。まさか同じレースに出てくるライバルは、局長のことを親父に近い年配だとは思わないだろうし、自動車専門誌の編集局長だなどとは、気がつかなかったはずである。
《正岡MEMO》)
1枚の豪華な招待状が、南オーストラリア州政府から届いた。三菱自工が冠スポンサーとなったFl最終戦に参加されたし、というのだ。もちろん前座戦に。世界地地図を東京から真っ直ぐ南下すると、アデレードに着く。空路10時間余。そこはもう夏。街はお祭り騒ぎ。 |

ペアを組んだS・マーチン(上)
同行の朝岡シゲさんとライバルたち

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